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車両設計でのオシロスコープの活用
車両用オシロスコープは、車両設計における電子部品、サブシステム、システムのデバッグと検証に不可欠なツールです。信号解析を表示し、電気測定を行うことで、エンジニアは車両の電子機器を深く調べることができます。
- ラボやテスト・トラックでの作業
- ECU内の電子機器のデバッグと検証
- 車両センサ、アクチュエータ、制御モジュールのテスト
- EVトラクション・インバータとチャージャの電力効率を最適化
- CANや車載Ethernetといった車載ネットワークのシグナル・インテグリティの評価
- 電気ノイズの発生源の特定
- テストの自動化、結果の共有と文書化
車両用オシロスコープのアプリケーションと特長
ECUテスト
オシロスコープは、ECUを構成するマイクロコントローラ、インタフェース、メモリ、アナログ・シグナル・チェーンのデバッグに極めて重要です。オシロスコープは、パワー・レールの点検、クロックの測定、立ち上がりの監視、ノイズ問題のトラブルシューティングに使用されます。
ECU内では、I2CやSPIなどのバスによる通信処理が可能です。適切に装備されたオシロスコープにより、これらのプロトコルで、デコードやトリガを実行できます。
今日の制御ユニットには、PCIeやDDRなど、最新のサーバと同様の高速インタフェースが組み込まれています。高性能オシロスコープは、これらのアプリケーションにおけるシグナル・インテグリティの検証に使用されます。
車載用センサ/アクチュエータのテスト
自動車には、さまざまなセンサ、モータ、スイッチ、アクチュエータが使用されています。自動車用オシロスコープは、信号品質と、信号間のタイミング関係をエンジニアが確認するのに役立ちます。4つ以上のチャンネルで、より複雑なシステムを可視化できます。
デジタル・ロジック・チャンネルを搭載したミックスド・シグナル・オシロスコープは、一度に16個以上のスイッチやアクチュエータのタイミングをチェックするのに役立ちます。
電気機械システムの場合、長いレコード長やロール・モードは、長時間のシステム動作を取り込むのに便利です。
自動車のパワー解析
長年、車両デザイナは、電気出力の管理に頭を悩ませてきましたが、パワートレーンの電動化が進み、出力管理の最適化が新たな重要性を持つようになりました。
オシロスコープで正確にパワー測定を行うには、電圧と電流を同時に測定する必要があります。したがって、適切な定格と範囲を備えた、堅牢な電圧プローブと電流プローブが重要になります。
EVのトラクション・インバータなどの三相電力変換器は、チャンネル数や計算数が多く、複雑性が増します。 5シリーズ および6シリーズ MSOでは、インバータ、モータ、駆動システムの解析に特化したソフトウェアを提供しています。このソフトウェアは、セットアップと計算の自動化により、測定に関連する問題の発生を軽減します。
車載ネットワークとシリアル・バス
内燃自動車と電気自動車の両方で、CAN、LIN、FlexRayといったデジタル・バスを使ってワイヤ・ハーネスを簡素化し、高い安全性と利便性を実現しています。アナログ・センサ出力は、SENTやPSI5などのバスに置き換えられています。車載Ethernetや新しいCAN規格、MIPI規格などのネットワーク技術でデータレートが向上し 、高度な運転支援や洗練されたコックピット機能が実現します。
車両用オシロスコープを使用すると、エンジニアはこれらのプロトコルをデコードしてトリガし、適切な通信を確認して、バス・トラフィックと他の信号間のタイミングを観察できます。高速ネットワーク技術では、高性能オシロスコープを使用することで、設計者が信号品質の厳しい基準を満たすことができます。
電気ノイズ解析とEMIテスト
自動車産業の黎明期から、放射ノイズと伝導電気ノイズ は、設計者を悩ませ続けてきました。現代の自動車は、大混乱を引き起こすようなノイズを発生する可能性があります。設計者は、複数の無線通信プロトコル、高速データ・ネットワーク、高電圧トラクション・インバータを共存させるという課題に直面しています。4シリーズ、5シリーズ、6シリーズMSOは、マルチ・チャンネルの同期スペクトラム解析機能を備え、複合ドメインのトラブルシューティングを可能にします。携帯性の高いスペクトラム・アナライザ、RSA306Bは、リアルタイムでの高速で広帯域なスキャンにも役立ちます。
ラボとテスト・トラック間の移動
現場にオシロスコープを持ち込めることで、運転条件下でのテストやトラブルシューティングに役立ちます。ポータブル・オシロスコープの重量は通常2kg未満であり、車内や車両周辺での持ち運びが簡単です。たとえば、2シリーズMSO は、高性能ながら携帯性に優れたオシロスコープで、バッテリ駆動に対応しています。
それでも一部のタスクでは、オシロスコープにより多くの出力が必要です。4、5、6シリーズMSOは、個人用ベンチやラボ・ステーションに最適な、幅広い性能を提供します。すべて同じユーザ・インタフェースを採用しており、エンジニアはあらゆるタスクに簡単に取り組むことができます。
自動車用オシロスコープは、各種のデバイスでさまざまな測定を行う必要があるため、複数の種類のプローブが必要です。ほとんどのオシロスコープにはグランド基準の電圧プローブが付属していますが、多くのアプリケーションは差動電圧プローブまたは電流プローブを必要とします。
測定値の文書化と共有
PCベースのテスト自動化により、エンジニアは非生産的で反復的なテスト作業から解放されます。テスト結果の文書化、共有、アーカイブ機能により、設計作業も効率化されます。 一部の車両用オシロスコープは、USBとLAN上で動作するプログラマブル・インタフェースを搭載しています。 テクトロニクスのオシロスコープは、完全に文書化された命令セットと、文書化と測定ストレージを高速化するソフトウェアを備えています。
自動車設計に最適なオシロスコープ
これらは、車載システムのデバッグと検証に最もよく使用される当社のオシロスコープ・ファミリの一部です。
テクトロニクスのオシロスコープの一覧は、オシロスコープのページ をご覧ください。
機能 | 2シリーズMSO |
4シリーズMSO |
5シリーズMSO |
6シリーズMSO |
---|---|---|---|---|
帯域幅の範囲 |
70MHz~500MHz | 200MHz~1.5GHz | 350MHz~2GHz | 1GHz~10GHz |
最大レコード長 |
10ms | 62.5ms | 500MS | 1GS |
アナログ・チャンネル数 |
2、4 | 4、6 | 4、6、8 | 4、6、8 |
バッテリ電源 |
○ | - | - | - |
車載用シリアル・バス・デコーダ* |
CAN LIN I2C SPI RS-232 |
CAN LIN FlexRay SENT PSI5 I2C SPI RS-232 |
CAN LIN FlexRay SENT PSI5 I2C SPI RS-232 |
CAN LIN FlexRay SENT PSI5 I2C SPI RS-232 |
拡張解析* |
ロール・モード |
RollMode マルチチャンネル・スペクトラム 三相パワー解析 パワーアナライザ |
RollMode マルチチャンネル・スペクトラム 三相パワー解析 パワーアナライザ |
RollMode マルチチャンネル・スペクトラム 三相パワー解析 パワーアナライザ 車載用Ethernet |
*選択されたオプション。 利用可能なシリアルバスと解析パッケージ・リストの完全版は、計測器のデータシートを参照してください。
最適な自動車用オシロスコープの選び方:考慮すべき仕様について
電子システム開発のニーズに合った自動車用オシロスコープを選ぶ際は、以下の仕様や機能を考慮してください。
- 帯域幅とサンプル・レート:これらの仕様が、正確に測定できる信号の最大周波数を決定します。温度センサ、電気機械式スイッチ、アクチュエータは、比較的低い帯域幅で問題ありません。ECU内の信号には、数百MHzまたは数千MHzの帯域幅を推奨します。
- チャンネル数:ほとんどの場合、1つまたは2つのチャンネルで測定が可能です。複雑な問題では、多くの信号を処理できる機能により、診断が容易になります。ミックスド・シグナル・オシロスコープは、スイッチ信号、アクチュエータ信号、通信バスの表示に使用できるデジタル・ロジック・チャンネルを追加することで、視認性を高めることができます。
- レコード長:オシロスコープが特定のサンプル・レートで取り込むことができる時間の幅を決定します。レコード長が長くなると、データが膨大になる可能性があるため、機器がデータの検索と解析にどのように役立つかを検討してください。
- バス・デコード:CAN、LIN、FlexRayなどの車載バスをデコードする機能は、自動車システムのトラブルシューティングの鍵となります。
- パワー解析:ほとんどの自動車の設計において電力は重要な要素ですが、電気自動車ではその重要性がさらに増します。今日のオシロスコープには、基本的なチャンネル演算からスイッチング損失解析、三相電力解析まで、さまざまなパワー解析機能が組み込まれています。
自動車用オシロスコープに関するFAQ
自動車用オシロスコープとはなんですか?
自動車用オシロスコープは、インバータ、エンジン・システム、バッテリ・システム、 セーフティ・システム、コックピット・コントロール、インフォテインメントなど、自動車内の一般的な 電気/電子システムの信号を視覚化して測定するための機器です。
自動車用オシロスコープはどのような場面で使用されますか?
自動車用オシロスコープは、プローブを被測定デバイスに接続して信号を調べる際に使用されます。 エンジニアは、設計プロセスでオシロスコープを使用し、開発中の製品の検証とデバッグを行います。 技術者は、現場での障害の診断にオシロスコープを使用します。
自動車に最適なオシロスコープはどれですか?
車載システムやタスクは多岐にわたるため、自動車の作業に適したオシロスコープの選択には、帯域幅、レコード長、解析能力、環境要因(携帯性、温度範囲など)、そしてもちろん、コストを考慮する必要があります。
オシロスコープのページ を参照してオシロスコープの主な仕様を比較し、詳細なデータシートにアクセスして、あらゆるアプリケーションに適したオシロスコープを見つけてください。
自動車用オシロスコープにはどのくらいの帯域幅が必要ですか?
オシロスコープの帯域幅により、信号の振幅を大幅に減らすことなく測定できる最高周波数が決まります。一般的に、 オシロスコープは測定する信号の数倍の速さである必要があります。エッジで動作する デジタルシステムの場合、信号の周波数成分は、信号の周期ではなく、信号の立ち上がり時間 と立ち下り時間で決まります。 数kHz未満で動作する電気機械システムの信号を観察する場合、100MHz以下の機器で十分です。 プロセッサ・システムおよびシリアル・バスで測定を行う場合 、望ましい帯域幅は100〜500MHzです。 ECU内の高速信号またはネットワーク信号を測定する場合、1GHz以上を必要とする可能性があります。
オシロスコープのページ を参照して帯域幅を比較し、詳細なデータ・シートにアクセスして、あらゆるアプリケーションに適したオシロスコープを見つけてください。