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USB 2.0物理レイヤ・テスト


はじめに

USB 2.0対応のデバイス設計、特性評価および動作確認に携わっているエンジニアは、製品の市場投入のスピードアップを日々迫られています。当社の測定パッケージでは、USB-IF(USB Implements Forum, Inc.)推奨のすべてのコンプライアンス・テストが、すばやく、正確に実行できます。

USB 2.0(Universal Serial Bus 2.0)は、コンピュータと周辺機器を接続するインタフェースの規格で、デバイスを接続するためにいちいちコンピュータのケースを開いてカードをインストールする必要がありません。USB 2.0に適合したデバイスの使用により、接続性、拡張性およびスピードが大幅に改善できます。

USB 2.0ではデータ・レートが40倍にもなり、フルモーション・ビデオから小型ハードディスク・ドライブまで利用できるようになります。しかし、このように著しく高速化するデータ・レートのため、テストや測定において新しい次元の課題が発生しています。

USB 2.0の規格では、新たなコンプライアンス・テスト(認証試験)が義務付けられています。USB-IF認証のロゴを製品につけるためには、製品の特性を評価し、USB 2.0の規格に適合する必要があります。USB-IFのコンプライアンス・テストに合格するためには、ロー・スピード(LS)、フル・スピード(FS)およびハイ・スピード(HS)のデバイスおよびハブにおいて、アイ・ダイアグラムおよび各パラメータを正確に測定できる計測器の選定が非常に重要になります。

このアプリケーション・ノートでは、USB 2.0物理レイヤ特性測定と電気特性テストについて説明し、また、各テストに必要な計測器についても説明します。

USB 2.0の基礎

USB 2.0は、VBUS、D−、D+およびグランドの4線を持ったシリアル・バスで、D−、D+はデータ・ライン、VBUSはホストまたはハブから電源供給を受ける場合の電源ラインになります。

USB 2.0では、次のようなデータ・レート、立上り時間が規定されています。

データ・レート 立上り時間
ロー・スピード(LS) 1.5Mbps 75〜300ns
フル・スピード(FS) 12Mbps 4〜20ns
ハイ・スピード(HS) 480Mbps 500ps

USB 2.0のデバイスには、セルフパワー(デバイス自身で電源を持っているもの)とバスパワー(ホストから電源をもらうもの)の2種類があります。セルフパワー・デバイスでは、電力を極力引き出さないように考慮する必要があり、テストについてはUSB2.0の仕様に規定されています。

USB 2.0電気テスト

USB 2.0の電気テストでは、Signal Quality(信号品質)、Inrush Current(突入電流)、Drop/Droop(ドロップ/ドループ)をテストします。

Signal Quality(信号品質)テスト

データ・レートが40倍になったことにより、USB 2.0のデバイス設計はよりむずかしいものになり、回路基板のレイアウト、ジッタ、立上り/立下り時間、EMI、ノイズ、グランド・バウンスなどによる信号品質が設計上の重要事項になってきました。デバイスをUSB2.0に対応させ、USB2.0の認証ロゴを取得するためには、信号品質を高く維持することが必要になります。

Signal Qualityテストには、以下の項目が含まれます。
  • アイ・ダイアグラム・テスト
  • 信号レート
  • EOP (End of Packet) 幅
  • クロスオーバ電圧レンジ
  • ペアードJKジッタ
  • ペアードKJジッタ
  • 連続ジッタ
  • 立上り時間
  • 立下り時間

アイ・ダイアグラム・テストは、シリアル・データ・アプリケーション向けの独自のテストです。

Signal Qualityテストにおける設定は、アップストリーム、ダウンストリームによって異なります。アップストリーム・テストでは、デバイスからホストに向かう信号が測定されます。ダウンストリーム・テストでは、ホストからデバイスに向かう信号が測定されます。ダウンストリーム・テストは、通常、ハブのポートで実行されます。

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
図1:DPO7254型で実行されるTDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージ
2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
図2:DPO7254型で実行されるTDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージ

コンプライアンス・テストでは、十分なテスト・マージンを確保するためにワーストケースのシナリオを想定する必要があります。具体的には、被測定デバイスは6段目の接続ポイントでテストし、HUT(被測定ハブ)では5段目の接続ポイントでテストします。

テスト機器

Signal Qualityテストでは、当社DPO7254型などの周波数帯域2.5GHz以上のリアルタイム・オシロスコープが必要です。プローブとしては、P6245型*1またはTAP1500型シングルエンド・プローブ(ロー・スピード、フル・スピード)、P6248型*1またはTDP1500型差動プローブ(ハイ・スピード)が必要になります。さらに、TDSUSB2コンプライアンス・テスト・ソフトウェアおよびテスト・フィクスチャが必要になります。

図1は、DPO7254型デジタル・フォスファ・オシロスコープで実行したTDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージの表示例です。TDSUSB2は、Signal Qualityテストを全自動で実行できるため、エンジニアは設計した回路をすばやく評価することができます。

まず、信号スピード(Low、FullまたはHigh Speed)を選択します。次に、Tier(DUTを接続する階層)、テスト・ポイント(DUTのテスト・ポイント、NearまたはFar)およびトラフィックの方向(アップストリームまたはダウンストリーム)を設定します(図2を参照)。以上の設定で実行ボタンを押すと、テストが開始されます。

*1 DPO7000シリーズで使用する場合は、TPA-BNC型アダプタが必要です。

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
図3:TDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージでは、測定結果が自動的に表示されます。

テストは自動で実行されるため、複雑なオシロスコープの設定は必要ありません。また、測定結果をUSB 2.0の規格と比較する必要もありません。結果は、自動的に表示されます(図3を参照)。

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
図4:DPO7254型で測定したInrush電流
Inrush Current(突入電流)テスト

USB 2.0はホットプラグ技術を採用しているため、デバイスによって引き出される電流が仕様値を超えないように注意する必要があります。引き出される電流が仕様値を超えると、バスに接 続 さ れ た デ バ イ ス の 動 作 が 不 安 定 に な り ま す。InrushCurrentテストは、セルフパワー・デバイス、バスパワー・デバイスの両方で実施し、DUT (Device Under Test) がハブのポートに接続されたときに、過大電流を引き出さないことを確認します。

Inrush Currentは、通常、デバイスを接続したときにスパイク状の波形として表示されます。デバイスがリセットされるタイミングによっては、小さなコブ状の波形や波形のみだれが観測されることもあります(図4参照)。

Inrush Currentは、理論的には、オシロスコープ上のある期間(2本の垂直カーソルで囲まれた範囲)における電流波形の積分値として計算されます。

USB 2.0では、デバイスによって引き出される電流の蓄積が、5.15VBUSにおいて51.5μC以下と規定しています。

テスト機器

Inrush Currentテストでは、当社DPO7254型などのリアルタイム・オシロスコープと、TCP0030型などの電流プローブが必要になります。さらに、TDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージなどのテスト・ソフトウェア/テスト・フィクスチャが必要になります。このテスト・パッケージでは、Inrush Currentをチェックするためのオシロスコープの設定が自動的に実行され、電荷(μC)、キャパシタンス(μF)がオシロスコープ上で直読でき、合否判定も表示されます。

Drop(ドロップ)テスト

USB 2.0では、セルフパワー・デバイスのUSBポートでVBUSの電圧が4.75〜5.25Vであること、バスパワーのハブでは4.4V以上であることが規定されています。Dropテストでは、無負荷時、最大負荷時(100mAまたは500mA)におけるVBUS電圧をチェックします。

Vdrop = Vアップストリーム − Vダウンストリーム

Vアップストリーム = VBUSアップストリーム・ハブ接続

Vダウンストリーム = VBUSハブのダウンストリーム・ポート

バスパワー・ハブでは、ダウンストリーム・ポートで100mAの負荷がある場合、アップストリーム・ポートとダウンストリーム・ポート間での電圧降下(Vdrop)が100mV以下であることが必要です。電圧降下が100mV以下であることは、ダウンストリーム・デバイスに対して4.4V以上が供給できることを意味します。バスパワー・ケーブル・デバイスでは、アップストリーム・コネクタとダウンストリーム・ポート間で、ケーブルの電圧降下を含めてVdropが350mV以下である必要があります。

テスト機器

Dropテストでは、マルチメータが必要です。TDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージでは、マルチメータの出力を取り込んで結果を表示させることができます。

Droop(ドループ)テスト

PUT (Port Under Test) の、無負荷時の電圧と100mA負荷 (すべてのポート)時の電圧の差をVdroopとします。USB 2.0で は、このVdroopが330mV以下であることと規定しています。 Droopテストでは、PUTのポートに、無負荷と100mA負荷を 交互に与えた場合(他のポートはすべて100%負荷)の電圧降 下のワーストケースを想定しています。すべてのVBUS測定は、 ローカル・グランドに対して行います。

テスト機器

Droopテストでは、当社DPO7254型などのリアルタイム・オ シロスコープ、TAP1500型、P6243型*2、P6245型*2など のシングルエンド・プローブが必要です。さらに、TDSUSB2コン プライアンス・テスト・ソフトウェアおよびテスト・フィクスチャ が必要です。TDSUSB2は、テストに必要なオシロスコープの 設定を自動的に設定し、信号を取込み、Vdroopを測定します。測 定結果は、合否判定とともに表示されます。

*2 DPO7000シリーズで使用する場合は、TPA-BNC型アダプタが必要です。

USB 2.0 High-speed(ハイ・スピード)テスト

USB 2.0コンプライアンス・テストは、基本的にはUSB 1.1に したがっています。これに、USB 2.0のHigh-speedモードが 追 加 に な っ て い ま す。High-speedテ ス ト で は、Receiver Sensitivity(レシーバ感度)、CHIRP(チャープ)、Monotonicity (モノトニシティ)およびImpedance(インピーダンス)測定 テストが追加されます。

Receiver Sensitivityテスト

ノイズ環境下での安定した動作を確保するため、USB 2.0 High-speedデバイスは、信号レベルが特定の値以上でIN*パ ケットに対して、NAK*が反応する必要があります。まずDUT をTest_SE0_NAKモードにし、ホストとシグナル・ジェネレー タを置き換えてINパケットを送信します。信号振幅は、DUTに おいて150mV以上にします。このレベルでは、DUTはINパケッ トに反応してNAKを出力する必要があります。次に、振幅を 100mV未満に下げます。この状態で、DUTはINパケットに対 して反応しないことが必要です。

* INパケット、NAKについては、USB 2.0の仕様書を参照してください。

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図5 : DPO7254型とDTG5000シリーズ・データ・ジェネレータを使用した、Receiver Sensitivityテストのセットアップ例
2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
図6:CHIRPテストにおけるテスト・パラメータ例
テスト機器

Receiver Sensitivityテストでは、当社DPO7254型などのリ アルタイム・オシロスコープが必要です。また、振幅を変化さ せながらINパケットを出力できる、AWG5000Bシリーズ、 AWG7000BシリーズまたはDTG5000シリーズが必要です。 さらに、TDP1500型またはP6248型*3などの差動プローブ、 TDSUSB2コンプライアンス・テスト・ソフトウェアおよびテ スト・フィクスチャが必要になります。

図5は、DPO7254型とデータ・ジェネレータを使用したセットアップ例を示しています。DPO7254型Opt. USBには、Receiver Sensitivityテストで必要なセットアップ・ファイルやテスト・パターンなどが含まれています。

CHIRPテスト

CHIRPテストでは、速度検出プロトコルにおけるアップストリーム/ダウンストリームのタイミングをテストします。ハブでは、アップストリームとダウンストリームの両方のポートでテストします。

CHIRPテストでは、DUTをホットプラグにし、シングルエンド・プローブで両方のデータ・ラインを測定します。データとしては、CHIRP K duration( 期 間 )、CHIRP Reset Time、HighSpeedターミネーション前のKJペア数およびデバイス・ターミネーション前、KJKJKJ後の遅延時間を解析します。

図6に、DPO7254型を使用したCHIRPテストのパラメータ例を示します。

テスト機器

CHIRPテストでは、当社DPO7254型など、2.5GHz以上の帯域のリアルタイム・オシロスコープ、TAP1500型、P6243型*3、P6245型*3などのシングルエンド・プローブが必要です。さらに、TDSUSB2コンプライアンス・テスト・ソフトウェアおよびテスト・フィクスチャが必要です。

マニュアル(手動)でのCHIRPテストは、非常に手間がかかります。TDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージを使用することでテスト手順が自動化でき、結果も表示できます。

*3 DPO7000シリーズで使用する場合は、TPA-BNC型アダプタが必要です。

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図7:立上り時間500psの信号でのMonotonicとNon-monotonicの様子
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図8:TDSUSB2コンプライアンス・テスト・パッケージで取込んだテスト・パケットから、各立上り/立下りエッジをチェックしたMonotonicityテストの例。
Monotonicity(モノトニシティ)テスト

USB 2.0 High-speedコ ン プ ラ イ ア ン ス・ テ ス ト で は、 Monotonicityテストが必要になります。Monotonicityテスト では、送信された信号の立上り/立下りエッジが、逆方向に向 かうことなく、スムーズに変化する必要があります。立上り/ 立下りエッジがスムーズに変化しない原因としては、回路内の メタスタビリティ、高周波ノイズ、ジッタなどが考えられます。 図7では、立上り時間500psのUSB 2.0 High-speed信号の 立上りエッジを比較しています。

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図9 : Monotonicityテストでは、高速信号品質測定用のセットアップが必要になります。
テスト機器

信号の立上り/立下りエッジ部分を数多くのサンプルで取込む ためには、可能な限り高速なサンプリング・レートを持ったオ シロスコープが必要になります。また、スムーズに変化してい ない高周波部分を減衰させることなく取込むためには、オシロ スコープの周波数帯域も十分に広いことが必要です。サンプル・ レ ー ト は10GS/s、 周 波 数 帯 域 は2.5〜4GHzが 必 要 で、 DPO7254型が適しています。

Monotonicityテストでは、TDSUSB2コンプライアンス・テ スト・ソフトウェアおよびテスト・フィクスチャも必要になり ます。USB 2.0のMonotonicityテストは、テスト・パケット 観測時に評価されます。TDSUSB2はテスト・パケットを取込ん で立上り/立下りエッジを測定します(図8、9を参照)。 TDSUSB2と高性能オシロスコープの組合せにより、テスト手 順は自動化でき、テスト結果も再現性が保てます。

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図10 : DSA8200型サンプリング・オシロスコープと80E04型TDRサンプリング・モジュールの組合せによるTDR測定例
Impedance Measurement(インピーダンス)テスト

USB 2.0 High-speedモードの信号レートは高速であるため、波形およびパッケージ・インピーダンスは非常に重要な測定パラメータになります。High-speed規格では、ケーブル、シリコンおよびデバイスの差動インピーダンスが規定されています。

USB 2.0では、差動TDRインピーダンスのステップ応答は400psと規定されています。インピーダンス・リミットは、DUTコネクタを基準に定義されています。コネクタからの決められた距離におけるインピーダンスは、70〜110Ωである必要があります。ケーブルにおいても、90Ω±15%である必要があります。

テスト機器

Impedance Measurementテストでは、80E04型TDRサンプリング・モジュールを組込んだDSA8200型デジタル・シリアル・アナライザが必要です。この組合せでは、最大8チャンネル同時に不整合のTDRを測定できます。

DSA8200型によるTDR測定例を図10に示します。規定で定められている90Ω±15%に入っていることを示しています。

テスト機器 Signal Quality テスト Inrush Current チェック Droop テスト Receiver Sensitivity テスト CHIRP テスト Impedance Measurement テスト
リアルタイム・オシロスコープ
TDR
データ・ジェネレータ
テスト・フィクスチャ
テスト・ソフトウェア
差動プローブ
シングルエンド・プローブ
電流プローブ

注:Dropテストでは、マルチメータが必要です。

USB 2.0物理レイヤ・テストに必要な計測器

USB 2.0では、データ・レートが大幅に高速化されたことで、 USBコンシューマ向デバイスの種類が増え、職場や家庭でのPC がより使いやすいものになります。コンシューマ向製品の開発に おいては、いかに早く市場に製品を投入できるかが重要です。適 切な計測器を使うことで、スケジュールに合ったUSBデバイス 開発が可能になります。特に、オシロスコープの周波数帯域、立 上り時間およびサンプル・レートは重要なスペックになります。 また、テスト・フィクスチャや自動テスト・ソフトウェアも必要 です。

USB 2.0物理レイヤ・テストで必要な計測器については、上記の表を参照してください。

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
図11:DPO7254型デジタル・フォスファ・オシロスコープ

USB 2.0物理レイヤ・テストに必要な計測器の選定

リアルタイム・オシロスコープ

USB 2.0の測定では、リアルタイム・オシロスコープが最も重要な計測器となります。オシロスコープを選定する場合、オシロスコープの立上り時間、周波数帯域およびサンプル・レートの仕様が重要になります。以下では、リアルタイム・オシロスコープに要求される性能について説明します。

測定精度におけるオシロスコープの周波数帯域/立上り時間の影響

オシロスコープで必要とされる立上り時間は、測定する信号の 立上り時間と密接な関係があります。測定された立上り時間[RT (measured)]、オシロスコープの立上り時間[RT(oscilloscope)] および信号の立上り時間[RT(signal)]の間には、次のような関 係式が成り立ちます。

RT(measured) = √RT(signal)2+RT(oscilloscope)2

次の表は、オシロスコープの立上り時間、周波数帯域と測定された立上り時間の関係から測定誤差を示したものです。

オシロスコープの周波数帯域/立上り時間と測定値の関係
周波数帯域(GHz) 立上り時間(ps) 測定された立上り時間 測定誤差(%)
4 100 509 1.80%
3 120 514 2.80%
2 180 531 6.20%
1 340 604 21%

* 500psの立上り信号において

上の表から、オシロスコープの立上り時間が信号の立上り時間の5倍速ければ、測定誤差は1.8%に抑えられます。しかし、オシロスコープの立上り時間が遅くなるにしたがって、測定誤差は大きくなります。したがって、500psの立上り時間を正確に測定するためには、DPO7254型などの、立上り時間が100〜180psのオシロスコープが必要になります。

オシロスコープのサンプル・レートの影響

500psの信号エッジを詳細に観測するためには、信号エッジは最低でも10ポイント以上取込む必要があります。High-speedテストで要求されるMonotonicityテストでは、特に重要な要素です。

当社のソリューション

500psの信号エッジで10ポイント取込むためには、オシロスコープのサンプル・レートは最低でも20GS/sが必要になります。

当社のリアルタイム・オシロスコープの一覧を次に示します。

仕様 DPO7254型 TDS7404B型 TDS7704B型
立上り/立下り時間 100ps 100ps 62ps
サンプル・レート(1ch) 40GS/s 20GS/s 20GS/s

注:USB 2.0では、エッジ・レートを500psとしています。

DPO7254型デジタル・フォスファ・オシロスコープは、当社 Windowsベースのオシロスコープにおける高性能な機種です。 最高40GS/sのリアルタイム・サンプル・レート、2.5GHzの 周波数帯域、4チャンネル入力の性能を持ち、USB 2.0で必要 な設計評価、デバッグに適しています。優れた波形取込能力、簡 単な操作性、拡張性も大きな特長です。DPO7254型には、 DPX波形取込技術により250,000波形/秒の波形取込レート があり、間欠的に発生する異常信号をすばやく取込み、表示する ことができます。

当社のその他の高性能オシロスコープにも、プローブ、ソフトウェア、各種アクセサリと組合せてUSBコンプライアンス・テストに使用できるものがあります。アプリケーションに最適な計測器の選定については、当社営業所までお問い合わせください。

TDR (Time Domain Reflectometer)

TDRは、インピーダンス測定で必要になります。80E04型 TDRサンプリング・モジュールを組込んだDSA8200型デジタ ル・シリアル・アナライザは、真の差動TDRが測定でき、USB 2.0のデバイス、ケーブルのインピーダンス測定に適しています。 このオシロスコープとサンプリング・モジュールの組合せにより、 差動ライン特性の正、負のTDR波形が同時に表示でき、差動ラ インの各導線のインピーダンスまたはコモン・モード電圧が直接 表示できます。また、真の差動測定が可能で、USB 2.0デバイ スで必要なインピーダンスをΩ単位で表示することができます。

信号ソース

Receiver Sensitivity(レシーバ感度)テストでは、信号ソースが必要になります。AWB5000Bシリーズ、AWG7000Bシリーズは、USBのレシーバ感度テストに最適な信号ソースです。

DTG5000シリーズは750MHzのデータ・ジェネレータで、ジッ タの少ない信号を出力することができ、USB 2.0 High-speed のコンプライアンス・テスト・システムに簡単に組み込むことが できます。2チャンネル出力ですので、USBデバイスで使用され る非標準の差動信号を出力できます。USB 2.0のレシーバ感度 テスト実行のためのセットアップ・ファイルも用意されています。

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図12:テスト・フィクスチャ
テスト・フィクスチャ

各テストのセットアップのためのプロービングには、テスト・フィクスチャが必要です。テスト・フィクスチャは、差動データ・ライン(D+、D−、VBUS)にアクセスでき、オンボードのUSBコネクタまたは電流プローブ用の測定ループを持っている必要があります。

Receiver Sensitivityテストでは、データ・ラインとデータ・ジェネレータを接続するためのSMAケーブルが必要です。TDR測定においても、接続用のケーブルが必要になります。

TDSUSBF型は、USB 2.0のコンプライアンス・テストに適したテスト・フィクスチャです(図12参照)。

テスト・ソフトウェア

USB 2.0コンプライアンス・テストは、マニュアル(手動)、半自動、または全自動で行います。

全自動テスト・ソフトウェア

TDSUSB2は、USB 2.0のコンプライアンス・テスト用ソフトウェアです。オシロスコープを自動的に設定したり、テストを自動実行するなど、ボタン一つでテストを実行できるため、テストを効率よく行うことができ、測定によるエラーを防ぐこともできます。

半自動テスト・ソフトウェア

テストによっては自動で行える項目もありますが、マニュアルで行わなければならない項目も含まれています。

High-speedテストにおいてマニュアルでテストする項目としては、Receiver Sensitivityテストなどがあります。

マニュアル(手動)テスト

従来、コンプライアンス・テストは、MATLABスクリプトによりテストしてきました。MATLABスクリプトによるテストでは、オシロスコープの設定、カーソルの正確な位置指定、信号の取込みと .tsvファイル形式による波形保存など、すべてのテスト手順をマニュアルで実行しておく必要があります。

テストとセットアップは複雑であり、熟練が必要です。中でも、テストごとにオシロスコープの設定は異なるため、オシロスコープの設定は最も時間のかかる作業です。また、テスト手順をドキュメントとして残す必要がありますので、非常に手間のかかる作業が必要になります。

プローブ

USB 2.0のコンプライアンス・テストでは、プローブは非常に重要なコンポーネントです。当社は、差動プローブとしてP6248型*4、TDP1500型、シングルエンド・プローブとしてP6245型*4、TAP1500型、 ま た 電 流 プ ロ ー ブ と し てTCP202型、TCP0030型を用意しており、高密度の実装基板の狭いピン間隔や狭いスペースでのプロービングも簡単に行え、信頼性の高い信号取込みが可能になります。

*4 DPO7000シリーズで使用する場合は、TPA-BNC型アダプタが必要です。

まとめ

USB 2.0の普及により、より使いやすくなった、新しい周辺機器の開発が急務になっています。しかし、データ・レートが高速になったことによって、解決しなければならない問題もまた増えてきました。

当社では、優れたオシロスコープ、真の差動TDR、高速データ・ジェネレータ、豊富なプローブ、さらに全自動テスト・ソフトウェアとテスト・フィクスチャを用意し、USB 2.0のコンプライアンス・テストを簡単に、かつ正確に行えるようにしました。

当社は、USBデバイスの設計エンジニア向に豊富な技術資料をご用意しています。当社ウェブ・サイト(www.tektronix.com/ja/usb)をご参照ください。