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第5回 3G-SDI ストレス・テスト、測定機材


第 5 回 3G-SDI ストレス・テスト、測定機材

最終回は、SDI システムのマージンを確保するためのストレス・テストと実際の測定機材について説明します。

ストレス・テスト

アナログ・システムと違い、デジタル・システムでは障害が発生すると、いきなり映像がクラッシュする傾向があります。ストレス・テストは障害を発生しやすい状況を与え、その条件下でも安定して伝送可能なマージンが確保されているかをテストします。

SMPTE259M、292M、424M での最もわかり易いテストは、エラーの兆候が現れるまで、ケーブル長を付加していく方法です。デジタル・ストリームとしてビデオ信号は伝送されますが、SDI 信号は本質的にアナログ信号で、振幅の減衰や位相シフトのようなアナログ歪みの影響を受けます。この歪みを補正するためにアダプティブ・ケーブル・イコライザが受信機に組み込まれています。ケーブル長を延長することで受信装置のイコライザ・レンジ、耐雑音性能の評価が可能です。

SDI チェック・フィールド

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
SDI チェック・フィールド「パソロジカル・テスト信号」

SDI のストレス・テストで用いられる信号は「SDI チェック・フィールド信号」(または「パソロジカル・テスト信号」)と呼ばれ、この信号を用いたテストはシステムの評価で重要なテスト項目となっています。この信号は 2 つのフィールドで分割された領域を持ち、最大の DC 成分を持つようなデータ・パターンで構成されています。 このような大きな DC 成分を持った信号は、受信イコライザにとって処理が困難な信号です。低周波エネルギーは統計的に 1 フレームに一回発生します。

SDI チェック・フィールド上部の紫色のフィールドでは、1 の後に 19 個の 0 が並んだビット・シーケンスが得られるように、ルミナンスは 198h、両クロミナンスは 300h のデータ・ワードがアクティブ・ビデオ領域で使用されます。このビット・シーケンスは受信側のケーブル・イコライザのテストのため、大きな DC 成分をシステムに与えます。

下部のグレーの領域ではデータ・ワード 200h、110h が使用されます。このパターンは連続した 20 ビットの 1 と 20 ビットの 0 が交互に発生します。これは 1 から 0、0 から 1 へのトランジェントの発生頻度を最小にしています。トランジェントの発生頻度が低いためフェーズ・ロック・ループの性能テストに用いられます。

SDI チェック・フィールドは RP178(SD)、RP198(HD)で規定されていますが、現在 3Gbps の規格は存在しません。しかしテクトロニクスの HD3G7 型 3Gbps ゼネレータ・モジュールは、3Gbps パソロジカル信号を発生する機能を持っています。3G-SDI は LEVEL A と B とで、データ・マッピング構造が異なるため、特殊な方法でパソロジカル信号をマッピングする必要があります。

この SDI チェック・フィールドは、イコライザや PLL にとって厳しい信号となっていますが、この信号をエラーすることなく、安定して受信できるように設計することが必要です。またシステムのマージンが確保されているかを確認するために、ストレス・テストを行うことは重要かつ有効な方法です。

HD3G7 型 3Gbps ゼネレータ・モジュール

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
TG700 型 テスト信号ゼネレータ HD3G7 型 3G-SDI ゼネレータ・モジュール

テクトロニクスの TG700 型に組み込まれて使用される HD3G7 型モジュールはストレス・テスト用信号を発生するだけでなく、3G-SDI 機器の機能を検証するためのテスト信号を多数発生させることができます。

SMPTE425 で規定されているすべての 1080 フォーマットをサポートしており、Level A および B のマッピング構造をカバーします。

1) YPbPr 4:2:2/4:4:4、10/12 ビット・データ

2) RGB 4:4:4、 10/12 ビット・データ

3) XYZ 4:4:4 12 ビット・フォーマット

このモジュールは 2 個の 3G-SDI 出力、HD-SDI 信号を 3G-SDI にアップコンバートするための HD-SDI入力やトリガ/クロック出力端子を備え、機器の評価を簡単に行うことができます。

ビデオ機材の設計に有効なテスト信号も豊富に備えています。例えば画像プロセスを行う機材のフリンジングや歪の目視評価に、周波数、位相、位置をリアルタイムに変更できるゾーン・プレートを発生できます。また WFM8300(AV ディレイ測定機能を標準搭載)または WFM7120 オプション AVD と組み合わせて AV ディレイを測定できる 32 チャンネル・エンベデッド・オーディオの発生機能、ユーザ定義の ANCデータの挿入、SMPTE352 ペイロード ID の ON/OFF と機器機能のテストを一台のゼネレータで効率的に行えます。

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
ゾーン・プレート信号

WFM8300 型 波形モニタ

2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
アイダイアグラム・ジッタ表示例
2001 SPECIFIED CALIBRATION INTERVALS
ビデオ・セッション表示例

前回の物理層の測定では、高いアナログ波形測定性能が求められます。正しい機器の評価には正確な測定器が必要です。WFM8300 型は新設計されたアナログ入力により、高帯域の波形測定性能を発揮し、正確なアイダイアグラム測定を自動で行うことができます。

1~2 分ごとに発生する CRC エラーまたは EDH は、デジタル・クリフが近付いていることを示し、迅速な対応が必要です。WFM8300 や WFM7120 のビデオ・セッション表示ではこのエラーを記録し、警告を発生することができます。システムの健全な運用には欠かすことのできない機能です。WFM8300 型は SD、HD、3G-SDI の設計・評価から運用まで、幅広く使用することのできる最新の高性能波形モニタです。

まとめ

5 回にわたり、3G-SDI の概要、物理層の測定について解説してきました。3G-SDI はこれからのハイエンド・ビデオにとって重要な役割を果たします。すでに、より高品質なコンテンツを提供するため、444あるいは 12 ビットといったフォーマットが制作段階で利用されています。 また、3D 映像への応用も期待されています。 テクトロニクスは HD-SDI の 2 倍に高められた伝送速度に対応する性能、新しいフォーマットに対する測定機能、豊富なテスト信号を用意しました。テクトロニクスの波形モニタ、テスト信号ゼネレータは 3G-SDI 機器の設計、システムの管理に、高い性能と豊富な機能を持ったツールとして、皆様のお仕事を支援します。