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デジタル電源管理/解析ソフトウェア - パワー・インテグリティ解析対応

5シリーズB/6シリーズB MSO Opt. 5-DPMBAS、5-DPM、6-DPMアプリケーション・データシート

5シリーズB/6シリーズB MSO Opt. 5-DPMBAS、5-DPM、6-DPMアプリケーション・データシート

今日の電子設計は、ほとんどの場合、適切に機能するためにさまざまな電源電圧を必要とします。こうした回路では、コンポーネントによっては複数の電圧レベルが必要になります。製品の仕様をテストするのは時間のかかるプロセスであり、デバッグはさらに面倒な作業となります。そのため、パワー・インテグリティが重要な役割を果たすようになり、それに取り組むことによって、企業は市場に出るまでの時間を改善できるようになりました。

デジタル電源管理/解析(DPM)ソフトウェア・オプションを使用すれば、5シリーズB/6シリーズB MSOでのパワー・インテグリティ解析にパワー・レールの自動測定が可能になります。このソリューションにより、パワーレール・プローブを使用した複数のパワーレールの同時解析や、受動プローブを使用した測定のシーケンシングが可能になります。このソリューションは、ユーザのワーク・フローを考慮し、設計エンジニアの時間的なニーズに対応できるように設計されています。また、測定値、試験結果、プロット画像を含む自動レポートを生成できます。

当社の5シリーズB/6シリーズB MSOとパワー・レール・プローブを組み合わせたソリューションは、エンジニアがリップル、トランジェントの特性、電源シーケンシング、振幅、ジッタ、アイ/タイミング・ダイアグラムの測定/解析を行い、測定の再現性を高め、結果を解析して精度を向上させるのに役立ちます。複数のFlexChannel®入力と5シリーズB/6シリーズB MSOの次世代ユーザ・インタフェースにより、エンジニアは波形(時間領域)、スペクトラム表示(周波数領域)、またはその両方を同時に表示して、効率的に回路設計のデバッグと解析を行うことができます。

ソフトウェア・ソリューションの主な機能

  • 自動測定による最大7本のレールの同時テスト(チャンネルごとに設定可能)
  • リップルの発生源の特定
  • リップルの上にオーバーレイされた高周波リップルの解析による設計の改良(リップル・オン・リップル)
  • PSIJ測定による、高速シリアル負荷とパワー・レール・ノイズの間の相互依存性の特定
  • シングル・クリックによる検出とプローブのセットアップ
  • オートゼロ:各チャンネルのメニューからプローブのデスキューが可能

カスタマー・アプリケーション

パワー・インテグリティ解析は、特に複数の技術が相互に接続され、高度に統合されたシステム・オン・チップやマイクロ・プロセッサの設計において、非常に重要な役割を果たします。個々のDCラインを観測し、供給される電力がターゲット・システムやデバイスの許容範囲内にあるかどうかを確認することが重要です。通常、アプリケーションは電力変換を必要とする分野全般に及んでおり、回路設計に複数の直流電圧レベルが関わっています。一例として、以下のような分野が挙げられます。

  • 携帯電話、コンピュータ、タブレット

  • 自動車

  • 工業

測定の概要

電源設計を解析する際に最も重要な測定項目は、リップルとトランジェントの2つです。しかし、最近の複雑なIC設計を目にすれば、パワー・シーケンシングやジッタなど、他にもますます重要性を増しつつある測定項目があることが分かります。

リップル解析

簡単に言えば、リップルは一定のDC成分(オフセット)上のAC交流電圧として定義されます。一般に、多くの場合、リップル成分の振幅はDC成分に比べると小さなものとなります。

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そのため、設計者はリップルをシステム・ノイズと混同しないように注意しなければなりません。DCパワーレールの測定時にオシロスコープやプローブのノイズを最小限に抑えることで、リップルだけを観測できるようになります。

デジタル電源管理ソリューションは、複数のパワーレールを同時に解析することができるため、設計/検証時のテスト時間を短縮できます。8チャンネルの5シリーズB/6シリーズB MSOを使用すれば、最大7つのパワー・レールを同時に測定できます。

ソリューションでは、Spectrum Viewを活用した、リップルのスペクトラム解析も実行できます。これにより、設計者はリップルの発生源を特定することができ、デバッグにかかる時間と労力を大幅に削減することができます。

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(利用可能な場合には)PWMクロックを選択することで、サイクル単位で解析を実施し、それぞれのリップル・サイクルのp-p値やRMS値を測定できます。この場合、取込んだ波形のすべてのサイクルについての統計値が得られます。帯域制限機能を使用することで、異なる周波数帯域におけるリップルの数を解析できます。

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DPMソリューションのユニークな特長の1つは、パワーレール・プローブの機能を活用して、リップルの上にオーバーレイされた高周波ノイズも解析できることです。これは一般的にリップル・オン・リップルとして知られています。

電源シーケンス解析

電源シーケンスを解析することで、パワーレールが要求時間内にオンまたはオフの状態に達しているかどうかを検証できます。

パワー・シーケンス解析は、最大7本のパワーレール上で同時に実行されます。8番目のソースをリファレンス入力として設定し、ターンオン時間とターンオフ時間を測定します。パワーレールの電源シーケンスを測定することで、要求時間内に確実にターンオン/ターンオフの状態に達する適切な設計が可能になります。テストを自動化することで、異なる負荷条件の下でも、一貫性のある正確なテスト結果が得られます。

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テストをセットアップするには、公称入力/出力電圧、トリガ・レベル、待機時間(期間)を設定します。パワーレール・プリセット・ボタンを押すだけで、最適化プロセスが起動され、最適な結果が得られるようにソフトウェアによってスケール設定、レコード長、サンプル・レートが最適化されます。ターンオン/ターンオフ時間が結果バッジに表示され、色分けされて波形上に示されます。結果は表形式でも表示されます。測定結果表を調べ、異常な値がないか確認し、設計の待機時間を比較し、検証します。

トランジェント解析

システムにおける過渡現象は、動作条件やシステム構成の変化によって引き起こされます。トランジェント解析の重要性は、外乱がシステム性能に与える影響や、それらが電源機器にもたらす障害を特定することです。

トランジェント解析は、通常、オーバシュートとアンダシュートの測定で構成されます。リップルと同様に、このアプリケーションでは、いくつかの簡単なステップで同時に自動測定を行うことができます。テストを開始する前にそれぞれのパワーレールの基準電圧が設定されます。オーバシュート測定では、最大電圧と基準電圧の差が示されます。アンダシュート測定では、最小電圧と基準電圧の差が示されます。

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この測定は、取り込んだ波形の1つのサイクルに対して実行できるほか、すべてのサイクルに対しても実行できます(サイクル・モード)。パワーレール信号に基づいて、またはシステムの別の信号に基づいて、サイクルを同期させることができます。サイクル単位での測定では、統計、ヒストグラム、プロットを解析に使用できます。帯域制限機能を使用することで、異なる周波数帯域におけるリップルの数を解析できます。

ジッタ解析

ジッタ測定は、DPM出力を使用して負荷をパワー・オンする、高速側のジッタ耐性を検証するのに役立ちます。一般的なノイズ源としては、データ信号からのクロストーク、クロックからのカップリング、電源スイッチング・ノイズ(および高調波)、SSN(Simultaneous Switching Noise)があります。DPMマルチレールは、FPGA、システム/CPUクロック、DDRメモリ、トランシーバなどのさまざまな負荷に電力を出力します。パワー・インテグリティ(PI)とシグナル・インテグリティ(SI)の機能は相互に関連しており、PIを変更することでSIが改善されることを知っておくことが重要です。電源に由来する障害は高速負荷に影響を与えます。電源ノイズが高速ジッタを発生させ、最終的にビット・エラーにつながることを理解することが重要です。だからこそ、アイ・クロージャを観測する必要があります。

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たとえば、SI(シグナル・インテグリティ)エンジニアは、クロックに電力を供給しているPOL(Point of Load)を測定し、アイ・ダイアグラムを観測して、きれいに開いていることを確認できます。アイ・ダイアグラムがきれいに表示されず、POLからスプリアスが発生していた場合には、より優れた感度が得られるように、PIエンジニアが電源設計を修正する作業に取り組みます。そうすることで、SIエンジニアはHSS負荷の改善を見ることができます。

テストを設定するには、ジッタ周波数、リファレンス・レベル、クロック・リカバリを指定します。ジッタ解析は5/6-DPMのみに含まれており、5-DPM-BASパッケージではサポートされていません。

PSIJ解析

PSIJ(電源誘発ジッタ)測定は、高速シリアル(HSS)の設計エンジニアがプロトタイピングの段階で電力に関連する(ハードウェアの)変更を行う前に、設計を改善するためのインサイトと自信を与えるツールとして機能します。

この測定は次の2つを目的としています。

  • パワー・レールのノイズによって発生するジッタの特定
  • HSS波形のジッタの抑制および信号品質の向上の確認

PSIJ測定では、ジッタ抑制技術を使用して、高速信号(ビクティム)の周期ジッタ(PJ)成分と電源(アグレッサ)レール・ノイズを相関させます。ジッタ抑制アルゴリズムは、パワー・レール・ソースから誘導されたビクティム信号から、指定された周波数を除去します。HSSの設計者は、除去する必要がある、必須の中心周波数でノッチ・フィルタ設定を構成できます。PSIJ測定は、コンスタント・クロック・リカバリ法で実行することをお勧めします。パワー・レールのノイズを除去する前後のHSSのスペクトラム・プロットは、信号品質の向上を検証するのに役立ちます。これは、HSS信号にアイ・ダイアグラム・プロットを追加することによっても検証できます。

この測定では、フィルタリングの前後で、アイ高さ、アイ幅、PJ、TIEなどの重要な結果が得られます。

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この図は、DDRメモリ、PCIeなどのさまざまな負荷ポイント(POL)を伴うノイズの影響のマルチ・レールの例を示しています

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この図は、パワー・レール・ソースによって追加されたジッタを除去した後のPSIJ結果の改善を示しています

レポート生成

このアプリケーションを使用することで、設計/開発プロセスに不可欠なデータ収集、保存、文書化といった作業が大幅に簡素化されます。DPMソフトウェアは、テストの全実行結果を合否判定結果と共に各種レポート形式(MHTまたはPDF)にまとめる機能を備えており、効率的な解析が可能です。

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仕様

リップル解析
使用するオシロスコープおよびパワー・レール・プローブによって異なる:
  • 10 mV未満(MSO6x型)
  • 10 mV以上(MSO5x型)
Spectrum Viewを使用することで、リップルの発生源も特定可能
測定値から帯域幅制限を設定
リップル周波数はパワーレールごとに設定が可能
トランジェント解析
オーバシュート、ターン・オン・アンダシュート、DCレール電圧などの測定が可能
オーバシュート/アンダシュートの計算で電圧レベルおよび基準電圧レベルの指定が可能
測定値から帯域幅制限を設定
電源シーケンス解析
ターン・オン/ターン・オフ時間測定機能を使用することで、すべてのレールのターン・オン時間またはターン・オフ時間の同時測定が可能
取込み時間も設定可能
ジッタ解析(5/6-DPMのみ)
測定項目:TIE、RJ、DJ、PJ、アイ・ハイ、アイ・ロー、アイ高さ、アイ幅など
複数のレール間のジッタを一度に取込み可能
PI/SI解析
パワー・レール・ノイズにより高速シリアル・データに発生する周期ジッタをPSIJ測定が特定
プロット
アイ・ダイアグラム、スペクトラム、ヒストグラム
レポート
MHTおよびPDFフォーマット
生データをCSV形式でエクスポート可能
消磁/デスキュー(静的)
プローブの自動検出
オートゼロ:各チャンネルのメニューからプローブのデスキューが可能
各チャンネルのメニューからマニュアルでのデスキューが可能
測定ソース
ライブ信号(アナログ)、リファレンス波形、演算波形

ご注文の際は以下の型名をご使用ください。

型名

製品名オプションサポートされる機器利用可能な周波数帯域
新規購入Opt. 5-DPMBAS(ジッタ・パッケージは付属しません)5シリーズB MSO(MSO54B型、MSO56B型、MSO58B型)
  • 350 MHz
  • 500 MHz
  • 1 GHz
  • 2 GHz
5-DPM5シリーズB MSO(MSO54B型、MSO56B型、MSO58B型)
5シリーズMSOロー・プロファイル(MSO58LP型)
6-DPM6シリーズB MSO(MSO64B型、MSO66B型、MSO68B型)
  • 1 GHz
  • 2.5 GHz
  • 4 GHz
  • 6 GHz
  • 8 GHz
  • 10 GHz
既存の機器用のアップグレード・ソフトウェアSUP5-DPMBAS(ジッタ・パッケージは付属しません)5シリーズMSO(MSO54型、MSO56型、MSO58型)
  • 350 MHz
  • 500 MHz
  • 1 GHz
  • 2 GHz
5シリーズB MSO(MSO54B型、MSO56B型、MSO58B型)
SUP5-DPM5シリーズMSO(MSO54型、MSO56型、MSO58型)
5シリーズB MSO(MSO54B型、MSO56B型、MSO58B型)
5シリーズMSOロー・プロファイル(MSO58LP型)
SUP6-DPM6シリーズMSO(MSO64型)
  • 1 GHz
  • 2.5 GHz
  • 4 GHz
  • 6 GHz
  • 8 GHz
  • 10 GHz
6シリーズB MSO(MSO64B型、MSO66B型、MSO68B型)

ソフトウェア・バンドル

バンドル・オプション説明サポートされる機器
5-PRO-POWER-1YPro Power Bundle(1年更新ライセンス)5シリーズB MSO
5-PRO-POWER-PERPro Power Bundle(永続ライセンス)
5-ULTIMATE-1YUltimate Bundle(1年更新ライセンス)
5-ULTIMATE-PERUltimate Bundle(永続ライセンス)
6-PRO-POWER-1YPro Power Bundle(1年更新ライセンス)6シリーズB MSO
6-PRO-POWER-PERPro Power Bundle(永続ライセンス)
6-ULTIMATE-1YUltimate Bundle(1年更新ライセンス)
6-ULTIMATE-PERUltimate Bundle(永続ライセンス)

推奨プローブ

プローブの種類型名プローブ周波数帯域
パワーレール・プローブTPR10001 GHzプローブ
TPR40004GHzプローブ

注:

  • DPM測定には、TPR1000型/TPR4000型プローブの使用を推奨します。TPR1000型/TPR4000型プローブとオシロスコープの組み合わせは、低ノイズの測定ソリューションを提供します。プローブの入力インピーダンスが高く、DCパワーレールに与えるオシロスコープの負荷効果を最小にできます(DCで50kΩ)。
  • オシロスコープやプローブのノイズと、測定した直流電源のノイズやリップルを混同しないように注意してください。
  • パワーレールの測定では、P6150型およびDCブロックによるSMAケーブルも使用できます。